紙で締結した注文書や契約書は、後から探すのが面倒です。
顧客との契約を確認したい時、ファイルを取り出し、1枚ずつめくって探していませんか?
この作業は、手間ばかりで何の成果も生みません。
書類をスキャン保存し、PDFデータで一覧化しましょう。
データ化されていることで、社名などを検索すればすぐ見つけられる状態になります。
本記事では、紙で締結した書類をスキャン保存し、PDFデータ一覧にするための具体的な手順を紹介します。
- 書類データ化の進め方がわからない
- ファイル名の表記ルールに悩んでいる
- 電子帳簿保存法など、法令をしっかり守って運用したい
という方に、参考にしていただける内容です。
紙で締結した書類の「探す手間」は、PDFデータ化で解消しよう
紙で締結した注文書や契約書は、ファイリングしてロッカーに施錠保管するのが一般的です。
この書類は、後から
「取引先になるA社様とは、契約締結済み?」
「先日連絡があったB社様だけど、そもそもどういう契約内容なの?」
といったことを確認する場面が、必ず出てきます。
契約内容を確認するために、該当の書類が見つかるまでファイル内の書類を1枚ずつめくる…。
大した作業ではないのに、時間ばかり消費してしまいます。
書面で締結した注文書や契約書などは、PDFデータの一覧にしましょう。
データ化されていることで、社名などを検索すれば探したい書類をすぐに見つけられます。
本記事では、3000枚を超える書類のデータ一覧化を実現させた、具体的な手順を紹介します。
データ化には地道な作業が必要ですが、「延々と紙をめくって探す」が、「検索して数秒で見つけられる」に変わります。
「探すだけの作業」をなくし、検索性アップの快適さを手に入れましょう。
書類をスキャン保存・PDFデータ化するための手順
これまで締結してきた書類をすべてスキャンし、ファイル名を修正するという作業は、相当な労力が要ります。
一人でやらずに、複数名で作業しましょう(一人だと心が折れます)。
半年以上、あるいは1年単位の社内プロジェクトとして、少しずつ進めます。
私の場合、3000枚を超える書類を、3名のスタッフでデータ化しました。
通常業務の合間にひたすら作業をした結果、10か月ほどで完了しています。
大変でしたが、その後の書類探しが非常に楽になりました。
全体の流れ
まずは、プロジェクト全体の流れを決めます。
- データ化する書類を決める
- データの保存先、フォルダ構成を決める
- ファイル名の表記ルールを決める
- スキャンからフォルダ保存までの流れを確認する
- ①から⑤までのルール・手順をマニュアルにする
- 書類を5枚ほどデータ化してみて、おおよその作業時間を見積もる
- 作業担当者を割り振る
- 作業時間と担当者の数から、完了見込み時期を計画する
各手順の流れについて、一部補足します。
データの保存先、フォルダ構成を決める
スキャン保存したPDFデータを、どこに格納していくかを決めます。
社内サーバーや、Googleドライブといったクラウドストレージの利用が、候補として挙げられます。
データ消失を避けたい重要データのため、情報漏洩の防止策や、バックアップ体制が十分なものを選びましょう。
「注文書」「契約書」といった、異なる種類の書類をデータ化する場合は、種類ごとにフォルダ分けするのが管理しやすいです。
各書類の下層フォルダは、年度ごと、製品ごとなど、自社で管理しやすい構成にしましょう。
書類を5枚ほどデータ化してみて、おおよその作業時間を見積もる
「書類をスキャン保存し、ファイル名を修正する」という作業が問題なくできるか、マニュアルに沿ってテスト作業をします。
マニュアルの説明がわかりにくい場合や、「この場合はどうするの?」といった疑問が生じた場合は、テスト作業の時点でなるべく加筆修正しておきましょう。
初めからマニュアルにしておくことで、誰がやっても同じ質の作業になります。
併せて、できれば5枚ほどデータ化してみて、1枚あたりにかかるおおよその時間も測ります。
1枚あたりにかかる時間に、データ化する書類のおおまかな総数を掛けると、全体の必要時間が把握できます。
作業担当者を割り振る
作業者は少なくとも2名以上、できれば3名以上いると良いです。
「Aさんは○年度」「Bさんは△年度」など、役割分担して作業しましょう。
作業時間と担当者の数から、完了見込み時期を計画する
作業時間と担当者の数がわかれば、何営業日ほどで完了できそうか予測を立てることができます。
プロジェクトの完了見込み時期を計画しましょう。
見込み時期が想定よりも大幅に遅れそうな場合は、作業担当者を増やすか、一時的に他業務の優先順位を下げるといった対策を打ちます。
なお、今まで締結してきた書類をデータ化した後も、新規で書面締結するケースは必ずあります。
今後のことも踏まえて、以下もマニュアルに記載しておきましょう。
- データ化の作業頻度:都度実施か、月1回程度でまとめて実施か
- 作業担当者
- 原本の保存期間
- 保存期間を過ぎた書類の破棄方法
ファイル名の表記ルール例
ファイル名の表記ルールは、一度設定すると変更が難しい箇所です。
後から「検索しづらい」「電子帳簿保存法を満たしていない」といったトラブルにつながらないよう、ルールをしっかり固めておきましょう。
ファイル名の表記は、例えば下記のように定めます。
- 注文書の場合、ファイル名は「【注文番号】顧客名_発注日_税込金額.pdf」
- 契約書の場合、ファイル名は「顧客名_契約書名_締結日.pdf」
- 日付は「yyyymmdd」と入力する (例)20260125
- 金額は「,」「円」無しで入力する (例)135000
上記は原則ルールの例ですが、特殊なケースも存在します。
特殊ケースも想定して、対策案を定めておきましょう。
- 注文書などで発注番号が不明な場合は、【00000】と入力する
- 締結日が不明な場合は、「00000000」と入力する
- 代理店経由の注文書だった場合、顧客名は「代理店名(利用企業名)」と入力する
- 三者間以上で締結した契約書の場合、「甲または乙の顧客名_丙の顧客名…契約書名_締結日」と入力する
スキャン保存の手順例
書類をスキャンする方法については、使っている複合機などの操作手順に従えば問題ありません。
「スキャンしたデータを、フォルダへ保存するまでの手順」を、マニュアルとして明記しましょう。
- 書類を、複合機で1件ずつスキャンする
- スキャンしたデータのファイルを開き、文字がぼやけていないか、ページが抜けていないかを確認する
- スキャンしたデータを、データ保存用のフォルダへ移動する
- ファイル名を、表記ルールに沿って修正する
- ファイル名と、PDFデータの顧客名・日付・金額等が一致していることを確認する
なお、電子帳簿保存法では、
- 解像度200dpi以上
- カラー保存
の両方を満たす機器でスキャン保存することが求められています。
業務用の複合機であれば問題ないかと思いますが、家庭用のスキャナ等を使う場合は、要件を満たしているか確認しましょう。
各書類の原本は「保存期間が過ぎるまで破棄しない」が無難
書類の保存期間は、法人税法では少なくとも「7年間」の保存義務があります。
電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たせば原本破棄は可能ですが、要件が細かいので原本も保管しておくのが無難です。
ちなみに保存義務とは、「保存期間を過ぎたら、書類を破棄しなくてはならない」というものではありません。
契約が続いている顧客の書類は、保存期間を過ぎた後も保存しておくのが一般的です。
保存期間をルールとして明記する際は、「保存期間は、締結から7年、または契約終了後7年のいずれか遅い方とする」と記載しておけば良いでしょう。
保存する必要がなくなった書類は、個人情報保護や情報漏洩の観点から、速やかに破棄するのが適切です。
書面の破棄は必ずシュレッダーを使い、原本が復元できない状態にしてから捨てましょう。
手作業でのシュレッダー破棄が困難な場合や、シュレッダーの粗さが心配な場合は、業者に溶解処分を依頼するのが確実です。
ヤマト運輸や佐川急便といった大手配送業者に依頼しても良いですし、機密保持契約書を交わしたうえで専門業者に委託することもできます。
まとめ:書類のデータ化は、大変だけどやる価値あり!
書類のデータ化で得られるメリットは、探す時間が大幅に減ることです。
- データ化する書類と保存先を決める
- ファイル名の表記ルールを決める
- 作業手順を確認し、マニュアル化する
- テスト作業をして、作業時間を見積もる
- 作業担当者を割り振り、完了見込み時期を計画する
- 「顧客名」「日付」「税込金額」を入れる
- 日付は「yyyymmdd」で入力する
- 金額は「,」「円」無しで入力する
- 特殊ケースの対応策も決めておく
すべての書類をデータ化するのは本当に大変ですが、かけた労力以上のメリットがあります。
「検索して数秒で見つけられる」快適さが手に入りますので、ぜひ挑戦してみてください。
