「何度も読み返しているのに、公開直前に誤字が見つかる」
「毎回、同じ表記ルールを確認するのが面倒……」
そんな校正作業に、時間を取られていませんか?
AIを校正に活用するなら、目指したいのは「その場だけの時短」ではなく、「繰り返し使える校正の仕組みづくり」です。
- 校正ルールを決める
- AIには一次チェックを任せる
- 人が最終確認する
本記事ではAIを使った校正として、ChatGPTに依頼するチェック項目から、校正用プロジェクトの作り方、そのまま使えるプロンプトまで解説します。
「文章を何度も確認する仕事」を見直して、文章をより良くするための時間を増やせるようにしましょう。
校正をAIで効率化しよう
校正とは、文章の誤字・脱字や表記ゆれなどを確認し、文章を正しく整える作業です。
本記事では、「不自然な表現の見直しや、事実確認が必要な箇所の洗い出し」も含めて「校正」と呼びます。
仕事で作成した記事やメルマガを、人の目で確認している方は多いのではないでしょうか。
目視による校正は、手間がかかります。
文章を何度も読み返す必要があり、同じ表記ルールを毎回確認するのも面倒です。
さらに、自分で書いた文章は「こう書いたはず」という思い込みが入りやすいもの。
しっかり読んで確認したつもりでも、数字・固有名詞・表記ゆれなどを見落とすことがあります。
そこで取り入れたいのが、AIによる一次チェックと、人による最終チェックを組み合わせる方法です。
- 目視では気づかなかった誤字・脱字を見つけられる
- 表記ゆれをチェックするために、文章を行き来しなくて良くなる
- 文章の修正案を出してもらえる
私のおすすめは、ChatGPTを使った校正です。
本記事では、私が実際にChatGPTで校正をしている中で、「こうするとより使いやすい」と実感している使い方を紹介します。
ChatGPTに何を校正してもらうか
ChatGPTに文章を渡すときは、「校正してください」だけで終わらせず、確認してほしい項目を具体的に伝えましょう。
私がCharGPTに校正を依頼する時は、以下をチェックするよう指示しています。
- 誤字・脱字:漢字の変換ミスや文字の抜けがないか
- 表記ゆれ:「ユーザー」と「ユーザ」などが混在していないか
- 不自然な言い回し:言葉の使い方が不自然ではないか
- 語尾の繰り返し:「〜です」「〜ます」などが2回以上連続していないか
- 数字や単位の表記:半角・全角、桁区切り、単位の書き方が統一されているか
- 固有名詞・正式名称:商品名や企業名などが正確か
- 内容の重複:別の段落で、同じ説明を必要以上に繰り返していないか
- 誤解を招く表現:読者が別の意味に受け取るおそれがないか
それなりに確認することがあるため、校正のたびにチェック項目の内容を指示するのは大変です。
そのため、後述する「校正用のプロジェクト」の中に「表記ルール」チャットを設け、ChatGPTに上記のチェック項目を覚えてもらっています。
ChatGPTに校正を任せる資料の例
対外的に発信しており、繰り返し作成する資料は、ChatGPTでの校正を始めやすいです。
- 定期配信するメルマガ
- プレスリリース
- オウンドメディアの記事
なお、公開前のプレスリリースなどには未公開情報が含まれます。
原稿をそのまま入力する前に、次の注意点を確認してください。
ChatGPTへ業務資料を入力するときの注意
利用するAIサービスや設定によっては、入力した情報がモデルの改善などに利用される場合があります。
ChatGPTには、会話をモデルの改善に利用するかどうかを管理するデータコントロールの設定があります。
ただし、モデル改善への利用をオフにしたからといって、会社の資料を自由に入力して良いわけではありません。
業務資料は、入力する前に情報の取り扱いを確認することが大前提です。
最低限、次の点を確認しましょう。
- 会社のAI利用ルールを確認する:利用許可が出ているサービスを適切に使う
- パスワードや暗証番号は絶対に入力しない
- 個人情報をそのまま入力しない:氏名やメールアドレスは、必要に応じて伏せる
- 個人情報以外も、必要に応じて匿名化・伏字にする:「担当者A」「取引先B」などに置き換える
- 社外秘情報、未公開情報を入力しない
業務資料の校正は、私的に使っているアカウントでは行わず、会社が承認した業務用アカウントで行いましょう。
校正を効率化するためのポイント
校正のたびに、同じルールを一から説明していては手間が残ります。
そこで整えたいのが、「共通の表記ルール」と「そのルールを繰り返し使う場所」です。
表記ルールを明記して、毎回の校正で同じルールを使えるようにする
前述の「ChatGPTに確認してもらう項目」をもとに、
- 校正で必ず確認していること
- 何を正しい表記とするか
を、表記ルールとして具体的に文章化しましょう。
| ルールの種類 | 指定する内容の例 |
|---|---|
| 用語の表記 | 「ユーザ」ではなく「ユーザー」と表記する |
| 製品名 | 正式名称で記載し、指定のない略称は使わない |
| 第三者認定 | 認定機関の正式名称、認定番号を使う |
| 特許・商標 | 正式名称、登録番号を使う |
名称や登録番号などは「正式なものを使ってください」と指示するだけでなく、正しい表記そのものを記載することがポイントです。
ルールと一致しない表記が見られた場合は、「校正結果:要確認」としてフィードバックするよう指示しておくのも良いでしょう。
共通ルールに加えて、資料ごとに見てほしいポイントも明記します。
- メルマガ:親しみやすさを残し、必要以上に硬い文章にしない
- プレスリリース:正式名称や数字の誤りや、断定的な表現を重点的に確認する など
ChatGPTで「校正用のプロジェクト」を作成する
ルールや原稿をまとめて管理するには、ChatGPTの「プロジェクト」が便利です。
プロジェクトでは、関連するチャット、参考ファイル、指示を一か所にまとめられます。
次の流れで、校正用の作業場所を作りましょう。
プロジェクト「校正」を作る
ChatGPTのサイドバーから「プロジェクト」を新規作成し、「校正」など用途がわかる名前を付けます。
プロジェクトの中に「表記ルール」チャットを作る
校正で見てほしいポイントや、用語の統一ルールをまとめます。
このチャットは、ルールを保管・更新する場所として使います。
表記ルールを「プロジェクトの指示」に登録する
表記ルールに関するチャットに、作成したルールを登録します。
プロジェクトの設定画面にも、「指示」に「表記ルールに関するチャットのルールに従って校正してください」と入力しておきます。
校正依頼用のチャットを用途別に分ける
実際に校正を行うチャットは、「メルマガ」「プレスリリース」「オウンドメディア」など用途別に分けます。
用途別にすることで、「前にも似たような内容を見たかも」と思った時に、過去のやり取りをさかのぼりやすくなります。
ChatGPTに校正を依頼する時のポイント
様々な資料をChatGPTに校正してもらう中で、こうするとやりやすいと感じている実践法を紹介します。
データのタイトルを明記する
その資料を初めて校正依頼するときは、資料のタイトルを必ず伝えます。
これは、同じチャットで複数の資料を扱うためです。
例えばメルマガなら、「メルマガ原稿_20260930配信_初稿」のようなタイトルです。
過去の原稿と比較したい場合は、比較する資料のタイトルも併せて伝えましょう。
生成された指摘のフィードバックをする
ChatGPTが生成した校正結果に対して、指摘事項の中から
- 何を採用したか
- 何を原文のままとしたか
- それぞれの理由
をチャットに記載します。
例えば、次のように返信します。
指摘1「ユーザ→ユーザー」→修正します。社内の表記ルールに合わせるため。
指摘2の言い換え→原文のままとします。専門知識のある読者向けに、元の用語が適切と判断したため。※今回の資料だけの判断であり、共通ルールの変更はありません。
指摘3の事実確認→原文のままとします。ただし、担当部署への確認事項として校正依頼者に返信し、必要に応じて修正します。
最初は、「どの表現を、なぜ残したのか」まで伝えることが手間に感じるかもしれません。
ですがこの一手間を繰り返すことで、校正方針の情報がチャット内に蓄積されていきます。
その結果、ChatGPTが賢くなってくれて、的確な指摘が出やすくなったと感じています。
校正依頼者へ返信するメッセージ文を共有する
実際に使った返信文を、個人情報などを除いてChatGPTに共有しておきましょう。
この作業は、1回やっておくと、次回から校正依頼者への返信文もChatGPTに作成してもらえます。
校正結果に対するフィードバックをもとに、返信メッセージの下書きを作ってください。文章は、以前共有した返信文に合わせてください。
作成された文章は、内容に誤りやヌケモレが無いか自分の目で確かめてから、校正依頼者へ返信しましょう。
校正依頼のプロンプト例
「ChatGPTに校正してもらいたいけど、なんて頼めばいいの?」という方は、次のプロンプトを参考にしてみてください。
資料名、表記ルール、対象の本文を差し替えて使えます。
以下の文章を校正してください。
【資料名】
◯◯(資料のタイトルを記入)
【表記ルール】
プロジェクトの指示と、指定した最新版の表記ルールを適用してください。
今回だけの追加ルールは、以下のとおりです。
・◯◯(今回だけの追加ルールを記入。なければ「今回だけの〜」をプロンプトから削除)
【出力形式】
修正が推奨される箇所について、「該当箇所の引用・修正を推奨する理由・修正案」を提示してください。
【校正対象の本文】
ここに文章を貼り付けます。
校正対象の本文が、Wordなど添付ファイルの場合は、「添付ファイルを参照してください」と指示します
AIの指摘を鵜呑みにせず、必ず人の目も入れること
ChatGPTに限らず、生成AIは、誤った内容をもっともらしく答える場合があります。
出力された指摘内容は、目視確認の時間短縮や見落とし防止に使うものであって、必ずしも正解ではありません。
実際に指摘事項を読んでいると
- 修正した箇所を、「直っていない」と指摘してくる
- 存在しない引用を生成する
といったことが、時々あります。
こうした場合も、「それは違うよ」とChatGPTにフィードバックしましょう。
【修正済みの箇所を指摘された場合】
◯◯(指摘された箇所)は、既に修正されています。
【誤りではない表現を指摘された場合】
◯◯(指摘された箇所)の表現は、誤りではありません。社内で定めた正式な表記を使用しています。修正対象から外してください。
【原文にない内容が引用された場合】
(まずは原文の存在を、文章検索で確認します。ヒットしない場合は下記のフィードバックをします)
あなたが指摘した「◯◯(指摘された箇所)」という記述は、今回の原文に見当たりません。どこに記載されていますか? 該当箇所と前後の文章を引用してください。
ChatGPTによる指摘事項を確認したら、下記については人の目でも最終チェックを行います。
- 固有名詞(商品名・人名)が、本当に合っているか
- 数字・日付・金額が、本当に合っているか
- URLやリンク先が正しいか、実際にクリックしてページを確認する
- 事実確認が必要な箇所は、担当者に確認を依頼する
校正、お疲れ様でした!
まとめ:AIで校正を時短しよう
ChatGPTで校正業務を効率化するには、文章を渡すだけでなく、繰り返し使えるルールと作業の流れを整えることが大切です。
- ルールを決める
- AIで一次チェックする
- 人が最終確認する
- 判断を次回のルールに反映する
表記ルールを校正用プロジェクトに明文化しておけば、毎回ゼロから依頼内容を考えずに済みます。
校正の際は資料のタイトルや版を渡し、AIからの指摘事項について採用・不採用とその理由を残しておきましょう。
そうすることで、校正するときの判断基準を整理し、次回以降の校正にも活かせます。
- ChatGPTで、校正用のプロジェクトを作成する
- 本記事や普段の校正を参考に、表記ルールを箇条書きにしてChatGPTに渡す
目指すのは、校正をAIに丸投げすることではありません。
AIにできる確認はAIに任せ、人は最終的な判断をすることです。
表記ルールや判断を次の校正に活かすことで、繰り返し発生する確認作業を少しずつ効率化していきましょう。
